ヤワラーの空中庭園~華人の溜まり場テスコロータス~

投稿日 2016.11.05

華人のおやじがカラオケに浸る亜空間

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バリスタが丁寧に淹れたコーヒーよりも、上半身裸のおやじがドジャーッと注ぐ中国茶が身をグッと引き締めてくれる(気がする)ので、定期的にヤワラー詣でに出る。中華系の人々のパワーしたたるこの極彩色の街にはナイススポットが多々、それらは追々お伝えするとして、まずはテスコロータス(Tesco Lotus)から紹介したい。

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なんの変哲もないテスコだが…

テスコといえば英国資本のタイ大手スーパーマーケットで、水牛だらけのド田舎であろうと、ひとたびテスコに足を踏み入れれば文明の香りに包まれるのが常だが、ヤワラー店だけは別格だ。1階はまぁ普通といってギリ差し支えないものの、ピクリとも動かない骨董エスカレーターをつたって2階にあがると、毛沢東の絵皿や福禄寿、瑪瑙の亀といった縁起ものでビッシリ。その隙間をぬう長テーブルの上には飲茶の空き皿。昼間からボエーーと華人おやじのカラオケが響く亜空間…。

が、いつの間にやら楽園は一掃。老舗レストランほか数軒が2階でひっそり営業を続ける中、おやじ衆は同ビル10階に民族大移動したとの噂をキャッチしたので再訪してみた。

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エスカレーター動かざること山のごとし

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2階はゾンビの集まるショッピングモール化

ここはバビロンの空中庭園か!?

エレベーターを降りると、おもちゃ、お茶など中国製品の問屋と、按摩屋と、あっ、食堂から変わらぬカラオケの声が聴こえてきた。健在のようだ。造花屋の軒先には色とりどりの花があふれ、バビロンの空中庭園を思わせる、といったら当然言い過ぎだが、中華街を見下ろすようにミニ中華街が形成されているのはなかなか趣深い。

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ガラス張りの中華食堂が並ぶ

出色は古書店。漢方薬の教科書や党大会記録などに混じって、大衆娯楽モノがちらほら出てくるのだが、これがどれもけっこうゲスい。関東軍731部隊による人体実験の告発本(という体裁)をめくれば、女は乳房を、男は睾丸をブッ潰された!等、漢字を拾って読んでいるだけでも、森村誠一著「悪魔の飽食」に景気よくエロ要素を盛り込んだ内容なのが伝わってくる。アイヤー…。

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おセクシーであられる雑誌。グラビアは水着止まり

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731本。性器、生殖器の文字が躍る攻めの表紙

タイの混沌の中にもさらなる異文化体験ができるとあって観光客にも人気のヤワラー。華人の日常をイヤってほど感じるには、こちらのリアルヤワラーが断然おススメだ。

文/万灯レイ子

[筆者プロフィール]
在タイ4年の人妻。趣味:フィールドワークという名の場末探訪。量産型ショッピングモールとおしゃれカフェに浸食される前に記録しておかねば。と謎の使命感を胸に日々徘徊。

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2 件のコメント

  • プノンペン大王 より:

     万灯レイ子さんの、核心を突いた軽妙な文章は何回も読んでしまいます。
     20年前ヤワラーのMY(エムワイ)ゲストハウスを常宿に、毎日ほっつき歩いていた私ですが、今でもバンコクに行くと必ず毎日ヤワラーに行ってしまいます。
     最近はファランが多いので雰囲気ぶち壊しと感じていましたが、今でもこの様なスポットがあると知らされてビックリ。次回必ず訪問します!

    • Gダイアリー編集部 より:

      万灯レイ子氏には今後も不定期ながら連載してもらいます。
      ぜひぜひお楽しみに!

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