第2報「アセアン最後の大国、民主化を果たしたミャンマーの憂鬱(後編)」

投稿日 2017.11.01

ミャンマー経済の現状をレポートした報告書(前編)はこちら。

第1報「アセアン最後の大国、民主化を果たしたミャンマーの憂鬱(前編)」

GIA-ミャンマー-ヤンゴン

ヤンゴン・ダウンタウン調査その1~GIA捜査は白想の積み重ね?!

雨季明けが近い10月初旬のミャンマー・ヤンゴン。
濃い湿気と地熱のような暑さが混ざり合って、子泣き爺のようにまとわりつく。
しかも先程ダウンタウンを襲ったスコールにより、目の前は汚水の湖である。

「ダンナ、知ってます?半世紀前にイギリスがミャンマーから撤退する際、ヤツラは嫌がらせとしてヤンゴンの下水道配管地図を抹消したんですよ。
だから人口が増えた今でも適切な修復と増設が出来なくて、スコール即洪水になっちまうんです。」

先日のヤンゴン巡回の際に世話になった、英語ペラペラのタクシー運転手のお喋りを思い出す悍ましい光景だ。

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汚水が引いた約一時間後、祠と周囲を丁寧に洗浄する老婆が現れた。
この国には路上の小さな祠が多く、その中にはゴールドブッダのミニチュアが奉られている。
ミャンマー人の厚い信仰心に、マックスだった不快指数が少し和らいだ気分になったものだ。

「仏教国の人たちは、根本的に心根が優しくて親切だ。
そんな人々の国に動乱、混乱を仕掛けてきた自分たち白人の歴史が悲しいよ。」

今度は、昨晩ローカルのバーで杯を酌み交わした老アメリカンの呟きが脳裏をよぎる。
たかだか一度のスコールで、偶然出会った方々との会話が甦ってくるとは、GIA調査官としての第一資格を取得出来ている気分ではある。

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ヤンゴン・ダウンタウン調査その2~最後の砦「エンペラー」も風前の灯火?!

「男が集まれば飯屋と飲み屋、そして女がやってくる」。

最近の東南アジアは、この後に「公安がやってくる」だ。
ヤンゴンも例外ではない。
短期旅行者に人気のお手軽風俗店はお取り潰しか、公安とのいたちごっこ。
代わりに、ヤンゴン全域において在住者や駐在員向けの高級ナイトクラブ系が増え続けている感が強い。
Gダイ本部からのGIAへの今回の調査依頼はダウンタウン内だが、このエリアで気軽に入店と“お餅”が出来る名高いディスコは「エンペラー」。
しかしここも、ビルとの契約が終了する来年春で閉館らしい。
他地域のディスコよりはお値段はお財布に優しいが、今や入場料は8,000チャットに跳ね上がり、嬢の言い値も100,000チャット以上が珍しくない。
しかも、一見ママさんに見える現役嬢が増えている?!
最近の嬢はみんなスマホを持っているので、懐中電灯機能で顔を照らしてアピールする者もいるが、顎の下から照らされたら引いてしまう様な嬢もいる(笑)

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エンペラー店内。真っ暗な店内で「我先に」と押し寄せてくる女性群からオキニを選び出す難儀は相変わらずだ。

「エンペラー」とともに人気だった「J.J」は閉鎖。
アップタウン方面のインセンに「“ニュー”J.J.」が高級ナイトクラブに模様替えして再オープンした噂を聞いたが、ダウンタウンからタクシー代が5,000チャットかかり、しかも訪れる度に入場料が15ドル、20ドルと異なるらしい。
どうやらドヒマだから、外国人特別料金制度がにわか復活したとの悪評プンプンなので、今回はパスだ。
また同系の「パイオニア」「MBE」も高級志向が強まり、移動費、入場料、店内のドリンク代等、“お餅”の前にチャットの万札がポンポン消えていくシステムの横行は、ヤンゴンの古き良き体験時の金銭感覚がもはや通用しないことを思い知らされる。

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エンペラー正面入口。夜8時ともなると周囲は人通りが少なくなるが、館内は盛況!

ヤンゴン・ダウンタウン調査その3~星餐館と歩道橋の“案内人”たち

スーレーパゴダから東西(&北)それぞれに直線で約30分以内で徒歩移動可能なダウンタウンにおいて、真昼間から人目を気にせずにビールが飲める場所を探してみた。
「エンペラー」の向いにある南北約200メートルのビル2階、「Singapore Food Junction(以下SFJ表記)」と「Lion World Restaurant」が何かと都合が良さそうである。
両店ともに生ビール小ジョッキ1杯が800チャット。
風通しはいいし、突然の風雨も凌げるし、煙草も心置きなく吸える。

特に「SFJ」において、男性従業員たちと親しくなってからは想定外の?厚遇を受けることになった。

彼らは「エンペラーの半額以下」の置屋嬢の斡旋が挨拶代わりになり(笑)、こちらが興味を示すと“案内人”が登場する。
また夜からカラオケのステージが催され、出演嬢への“特別便宜”も図ってくれる。更に当ビルの屋上ビアガーデン「Zero Zone」の嬢も2階まで連れてきてくれる。
ただし彼女たちの“お餅”は、基本的にアフター。しかも自信たっぷりな態度で、言い値はエンペラー以上。嬢それぞれの出番待ち時間内での、素早く適切な交渉術が求められる!
メデタク交渉が成立したら、案内人(SFJ従業員)へのチップもはずんでおけば、次回更なる便宜と厚遇が待っているであろう!

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「SFJ」のウエイターのティン君。“全てにおいて”いい働きっぷり!彼はMessengerでも頻繁に情報を提供してくれた。

「SFJ」はマハ・バンドゥーラ通りとシェエダゴンパゴダ通りの交差点を跨ぐ歩道橋上からも入店出来るが、この歩道橋周辺も案内人だらけ。
周辺の置屋を覗きたければ、真昼間から歩道橋上で写真撮影の真似事でもしていれば、必ず声がかかる。
彼らの言い値は大体30ドルだが、“事後”ほどなく案内代、部屋代と称して10ドル追加をせがまれるので、「SFJ」の案内人と総額は大差ない。
自分の体験上では、「SFJ」に現れた案内人と歩道橋周辺のそれとは全員別人。
案内された置屋も別家屋であり、全てチャイナタウンのBBQストリート(19th St.)を越えた12~18th St.周辺に点在。
閉店した飲食店や家屋の階上スペースを強引に仕切って“休憩室”に改造。
歩道橋上の案内人に連れていかれた置屋では、“休憩室”の中まで入らないと嬢たちが出てこないパターンもあり。
その「見学だけでは帰さんぞ!」の卑劣な営業方針と、事実ひと悶着があった。
置屋が潜む建物は、何処も普段はジャバラの門扉ががっちり閉められており、門番の類は見当たらない。
単独で訪れても入場は難しいから、案内人頼りだ。

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「SFJ」へと続く歩道橋。退屈な時、“欲しい”時はこの歩道橋へ!

追加調査~二つの湖に挟まれた格安快楽地帯

次第にヤンゴン・ダウンタウンのナイトライフは色合いが増してきていたが、何か物足りない。
夜遊びの本丸に攻め込めないようなもどかしさが強まるばかりである。
ミャンマー滞在期限が迫ったある日、幸運にも在住数年のH氏が調査協力を了解、ご本人の遊び場へと快く案内して下さった。

「ヤンゴンの置屋、侮るなかれですよ」

の心強いお言葉!

GPSマップを確認していると、タクシーは先日ホテル火災のあったカンドージ湖とインヤー湖との間、サヤ・サンロード周辺まで進む。(ダウンタウンから約15分、4~5,000チャット)
3件の置屋に案内されたが、お値段は25,000チャット未満とエンペラーの4分の1!
ダウンタウンの置屋の半分以下でもあり、“休憩室”はやや清潔で顔ぶれも(この日は)若くて表情も明るい。
嬢たちの自然な笑顔に、こちらの後ろめたさが和らぐ(笑)
何処かがキラリと光っている嬢が3件ともに一人はいたのも不思議だ。
また各所の入口に門番がいて、客と分かればすぐにジャバラ門扉を開けてくれるから、単独訪問も可能だ。
遠からず公安の魔の手が伸びてくるはずなので、いつまで同じ場所にあるかは不明ではある。

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ダウンタウンでも、サヤ・サンロード周辺でも、置屋は普通の商店街や住宅街の中に息を潜めてお客を待っている。写真はダウンタウンの置屋周辺。

H氏のアドバイスは、

タクシー運転手の多くは情報屋なので、真昼間にオススメを受けた場合は、徹底的に回らせてマップにマーキングしておくこと。

“その手の情報屋”を兼ねたタクシーは、エンペラーや先述の歩道橋周辺やボー・ジオーク通りとアナウラ二タ通り間のスール・パゴダ・ロード(映画館のある33th St.側)に多く、頻繁に「按摩、按摩」と声掛けされた。
置屋巡りの後、H氏は近場の高級個室カラオケ店「LAX KTV」に案内して下さった。
ボトルキープされているウイスキー、シーバスリーガルを振舞って頂き、約1時間日本語のカラオケを楽しんでお値段は一人20,000チャット。
指名してご同席頂いた嬢へのチップも20,000チャット。
嬢によっては別室の客を同時に接客している場合もあり、必ずしも時間内ベッタリというわけでもない。
閉店後の“お餅”は要交渉!

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個室カラオケ「LAX KTX」外装も内装も、「ここがミャンマー?」と驚くばかりに煌びやか!日本語のカラオケも多い。

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更に北上すれば“立ちんぼ嬢”が待ち受けるインヤー湖沿岸や高級ディスコもあるが、追加調査、巡回はここまで!と潔く決断させてくれた一帯であった!!

(※本文内金額表記=1チャット→約0.085円/例:5,000チャット→約430円、10,000チャット→約850円 [2017年9月の大体のレートです])

以上
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9月下旬のサイクロン接近によって雨季が長引いた為に多少行動が制限されたものの、在住の日本人の方々やミャンマー人の案内人の方々のお陰によるヤンゴン・ダウンタウンのご紹介を一旦〆させて頂きます。
“ご近所、お手軽”快楽システムが壊滅期にあるダウンタウン周辺ですが、こんな時期ならば、酒やら食やらお散歩やらで複合的に楽しんで“凌いでおく”のも一考かもしれません。
“あとがき”代わりに「ダウンタウン調査その4」として、「ヤンゴン・ダウンタウンオススメショップ&地域15選+α」を掲載致しますので、機会があればご自身の嗜好に合わせて訪ねてみられたし。
なおダウンタウンを脱出して、高級ナイトクラブや高級KTVに潜入する調査に関しては、皆様からのご要望があれば、ソリマチヲ総括本部長とともに前向きに実行を検討させて頂きます!

ヤンゴン・ダウンタウン調査その4~オススメショップ&地域15選+α

15選(18ポイント)すべて、ダウンタウン中心部から徒歩移動可能な場所をピックアップしてあります。
(下のマップ内のピンをクリックすると、写真とコメントが閲覧できます)

スペシャル・ピックアップ その1~「日本料理店 Sakura 桜」

GIA-ミャンマー-ヤンゴン-Sakura 桜

ミャンマー料理の屋台や大衆食堂がダメな時、日本の味や赤提灯が恋しい時、ヤンゴンの暑気にうんざりした時、清楚で賢いミャンマーレディに会ってみたい時(?)は「桜」へ。
昼は定食屋さん、夜は居酒屋さん。スポーティーでフレンドリーな日本人店主さんが常駐。
短期旅行者から現地在住者まで、日本人なら誰でも肩ひじはらずにくつろぐことが出来る。
懐かしい日本の味とサービス精神が「桜」の真骨頂。

スペシャル・ピックアップ その2~「ジャパニーズ・ガールズ・バー Tokyo Love Story(東京ラブストーリー)」

GIA-ミャンマー-ヤンゴン-ジャパニーズ・ガールズ・バー 東京ラブストーリー

小洒落たバーで一人飲みたい時、夜遊びに疲れた時、ちょっと便利なミャンマー語を覚えたい時?!、健康的でチャーミングなミャンマーレディと心優しい日本人マスターがお相手してくれるはず!
話好きの在住者さんたちもたくさん立ち寄るので、ひょっとしたら“新しい情報”がゲットできるかも!

【プロフィール】
神中(ジン・アタル)19〇〇年東京都生まれのフリーライター。
「金ができたら旅、金が無くなれば仕事」をひたすら繰り返す放浪者。
旅のモットーは「旅は独り旅に限る」「酒とタバコが美味ければ何処にでも行く」。
お気に入りの都市は、ブダべスト(ハンガリー)、ハンブルク(ドイツ)、ドトスサントス(メキシコ)&バンコク。
一応日本とアセアン諸国でメディア編集者歴20年あり。憧れの作家はイアン・フレミング(映画007シリーズの原作者)。

[連載]GIA 調査報告書の最新記事

4 件のコメント

  • 橋本 より:

    10月11月とお世話になりました、橋本です。
    第一報、二報と読ませて頂きました。
    ミャンマーの歴史背景と現状を織り込んだ文章が、私にはとても面白かったです。
    特に何もしたくない病と洪水の件は、生の声感が強くて好きです。
    続報楽しみにしてます。

    • Gダイアリー編集部 より:

      ご覧頂きましてありがとうございます!
      神中(ジン・アタル)氏に伝えておきます!

  • ょιぉ より:

    こんにちは。
    前後編でバランスが良い記事で興味をそそりました。
    現地食に飽きたときの日本食も悪くないですが、もう少しローカルの
    美味しい飯屋を含むドローカルスポットやチャイナタウンの名店も
    含む続編を希望です。

    • Gダイアリー編集部 より:

      ご感想頂きましてありがとうございます。
      捜査官が既に違う国に旅立ってしまったので、次回のミャンマー編には考慮させて頂きます!

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