- ホーム
- 企画 & 特集
- [連載]タイの考察 〜オンナとタカダと、時々、チョメチョメ〜
- 第15回「オレが育てたのだと言わせてくれ! ジェーンという女」
第15回「オレが育てたのだと言わせてくれ! ジェーンという女」
投稿日 2018.08.28
正真正銘の不人気嬢をタニヤでゲット!
ある意味では根性あるし、ある意味ではなにも考えていないのかなと思った子がタニヤで出会ったジェーンだ。
2010年ごろに初めて会い、オレが何回も弄ってあげたことでタニヤでそこそこ働ける女の子になったのではないかと、彼女に言われたわけではないが、自負していたりする。
というのは、初めて彼女に会ったとき、彼女はその店で働き始めて2週間くらいの、まだまだ新人とも言えるころだった。
オレが初めての指名で、入店から2週間、誰にも指名されることなく通勤していたのだ。
普通、数日で諦めないかね。
なんかすごい女の子だと思い、以後、その店に行くたびにジェーンを指名した。
顔は特別美人というわけではない。
身体は中肉中背で、むしろ悪くはないエロさがある。
ただ、その店は少数精鋭の小さな店舗だったのでひな壇が小さく、彼女のボディにまで目が行く前に顔立ちに引っかかる人が多かったのだろう。
垢抜けていないというか、よくよく近くで見れば眉毛が繋がっているくらいで、さすがにタニヤでもこのレベルは選ばれないでしょう。
オレは基本的には容姿レベルが一般的に普通とされる女の子はすべてかわいいゾーンに分類する。
だから、ジェーンもそれほどのブスだとも思わずに選んだ。
とはいえ、眉毛が繋がっているのはやっぱり衝撃的で、当時のブログを見返してみると、ジェーンのことを「勘吉」と呼んでいた。
初めて席に呼んだときに「あなたが初めての客」と言われた。
確かに、ドリンクを奢ってあげようにも注文の仕方もわかっていなかった。
たまにタニヤ嬢は長く働いていないとウソを吐く奴がいるが、ジェーンは本物の不人気嬢であった。
不人気にも需要がある
その後、およそ1ヶ月くらい行かなかった。
久しぶりのジェーンに訊けば、最初のオレの指名から通算で4人ほど客がついたと言っていた。
まあ、その4人のうちオレが最初と最後に入っているので、間にたった2人しかいない。
相変わらずの不人気ぶりで、工業製品ならとうに生産中止になっているだろう。
オレはどちらかというと夜の店では不人気嬢が好きだ。
人気嬢はスレていて面倒だし、かわいすぎて話しづらい。
ちょうどいいブスがいいのだ。
あと、会社員時代は特に現実的に不人気嬢の方がよかったというのもある。
接待で客を連れて行くときに、いつもいてくれれば楽なのである。
タイ語ができる人のあるある話だが、とにかく行く先々で「なんでタイ語を話せるのか」という質問、あるいは「タイに長く住んでいるのはなぜか」といった問いを頻繁に浴びせられる。
オレなんかは在住だけで通算18年になるので、もう何千回とその質問に答えてきた。
だから、馴染みの女の子がいればその導入部分を省略できるのである。
同じようなことをソイ・カウボーイの「バカラ」でもしていた。若くかわいい子が多い中、ものすごく太ったやや年増の雰囲気を醸す超不人気嬢と仲よくなり、いつも呼んであげてドリンクを奢った。
そのうちオレとの会話で客慣れしてぼちぼち客がつくようになり、なにを勘違いしたか、オレの顔を見ると「ごめんね、今お客さんが来ているの」と言うようになる。
別に好きなわけではない。
いなければいないでまったくかまわない。
しかも、出会った当初は5歳年下だったが、2年後には3歳年上になっていた。
ウソを吐くなら吐くで、ちゃんとキャラを固めておけよ。
あっという間に垢抜けて成長したジェーン
ジェーンは当時23歳くらいだった。
昼間は工場で働き、夜はタニヤ。
小さな声で話し、おとなしくて優しい女の子だった。
ジェーンには日本人はこうすると喜ぶといったことや、これをしたら怒るということも話した。
誤解なきように言っておくと、オレはジェーンとは身体の関係はない。
あくまでも、いつ行ってもいる子を確保したつもりだった。
ただ、段々彼女の真面目さを知って、それなりに客がついてほしいと思うようになったことで、レクチャーと言ったらおこがましいが、簡単なテクニックを教えたのだ。
そのうち、ジェーンがいない日が出てくるようになった。
こういうとき、ママさんらは「今から来る」とか言うが、あれは腹立つよね。
別にいないならいない、ほかに客がいるならいるでいいわけで。
だから、ジェーンがいないときはその理由がわからなかった。
そもそも、それほど執着しているわけではなかったので、強く詮索もしなかった。
そうして、久しぶりに会ったとき、最近は結構指名されるし、リピーターもついているという話を本人から聞いた。
繋がっていた眉毛もいつの間にかきれいに整えられていたし、小ぎれいになっている。
急成長している様子を感じた。
昼間の仕事もすでに辞め、ときには1週間、客とプーケットに行くこともあった。
観光で終日つき合う場合は1日5,000バーツをもらっていると言っていた。
1年も経たないうちに指名がなかったジェーンが、まるで売れっ子のように稼いでいる。
嬉しいようで寂しいようで。
プーケットの話を聞いて以来、ジェーンとはそれっきりになった。
そのあと1年か2年して、ばったりとタニヤのど真ん中で再会する。
オレなんかはすっかり名前も忘れていたし、ジェーンと言われても誰だったかが一致しないほど美人になっていた。
どうやら元いた店も辞め、ほかの人気店で大活躍しているようだった。
彼女からしてみたらただの最初の客でしかないだろうけど、あれだけレクチャーしたんだもの。
オレが育てたんだと、思わせてくれよ、と。
女の子というのは出会い次第で変わるのだと思った。
今はかわいくなくても、こちらの弄り方ではこういう風に変われるのだ。
そう考えると、「ここはひどい店だな」とひな壇を見て思ったとしても、もしかしたら超高価なダイヤの原石が転がっているかもしれない。
見いだせていないのはオレたちの目なのではないか。
だから、オレはよほどのことがない限り、ひな壇や席でのトークで女の子のいいところを見いだしてあげようと努力している。
どの店でもとりあえず楽しんでみようぜ、ということだ。
この姿勢は、オレが逆にジェーンから教えてもらったものだと、今振り返ってみて思う。
【プロフィール】
高田胤臣(たかだたねおみ)
1977年東京都出身のタイ在住ライター。
1998年初訪タイから2006年に結婚するまでにゴーゴー嬢、タニヤ嬢、マッサージ嬢など夜の女の子と一通りつきあい、タイの低所得者層から中流層の生活を垣間見てきた。
著書に「バンコク 裏の歩き方」や「東南アジア 裏の歩き方」など彩図社の裏の歩き方シリーズ関連、Amazon Kindleの電子書籍など。
コメントを残す