- ホーム
- 企画 & 特集
- [連載]タイの考察 〜オンナとタカダと、時々、チョメチョメ〜
- 第21回「本当に頭に来たナタリーの女 ナットという女」
第21回「本当に頭に来たナタリーの女 ナットという女」
投稿日 2018.11.28
結婚前に同棲を始めたが、当時は20代だったので元気が有り余っていた。
当時まだ彼女だった妻がちょっと田舎に行った隙に、オレは初めて「ナタリー」に行った。
それ以前にミャンマー人の女の子とディスコで知り合い、ナタリーに勤めているとは聞いていたのでその存在は知っていたが、当時は閉鎖直前の異様なまでの日本人人気はなく、ひな壇もしっかり機能していた。
そんな名前は聞いていたが、実際に遊びに行くのは初めてのときの体験談だ。
あまりにもひどい対応で、これをきっかけにどちらかというとアンチMP(マッサージパーラー)になった。
それほどの思い出である。
ちなみに名前もうろ覚えで、仮名となる。
テンションが上がってコンシアを通さなかったのが敗因
「ナタリー」が日本人に異様なまでに人気になったのは、ややロリータな女の子が多かったからだという。
実際、処女の女の子もいて、10万バーツとか20万バーツでスタートし、2回目は半額、3回目にさらに半分と下がっていき、数回目で通常料金に落ち着く。
2012年前後の全盛期に一度ビールを飲みに行くだけ行ったが、そのときはひな壇には誰も座らず、いわゆるサイドライン(グレードの高い女の子)のエリアに全員揃っていた。
どうやら、ナタリーでは女の子は自分で自分の値段を決められるという話で、高く設定できるサイドラインにみんな来てしまったとそのときに聞いている。
ちなみに、サイドラインなどの高いグレードは女の子が自分で望んだり、店側が決めるだけであって、必ずしもサービスの良し悪しではない。
これもまたオレがMPが好きでない点だ。
MPに行くくらいなら古式マッサージにした方がいい。
この話は確か2004年だった。
ナタリーはまだサイドラインがほとんどいなくて、ひな壇に女の子が集まっていた。
日本人は確かにすでに多かったが、みんなひな壇を向いて女の子を吟味していた。
オレは当時すでに女の子選びはコンシアに任せるという遊び方を確立させていた。
いや、むしろここでの失敗がコンシア任せが正しいという確信に変わったと言った方がいい。
コンシアとは支配人みたいな存在で、何番の子がサービスがいいなど、情報を持っている。
それがわりと高確率で合っているので、オレはMP遊びはコンシア任せにする。
まあ、完全に任せてしまうのは、オレのストライクゾーンが広いからなせることでもあるのだが。
しかし、このときは彼女(現妻)がいないわずかな時間であったし、初めての店で舞い上がっていたのもあったのかもしれない。
コンシアはほかの子を勧めていたが、オレの目にはナットが留まっていた。
肉感的で、色白。
目が大きく美人系。
イメージとしては亡くなったAV女優、紅音ほたるである。
コンシアのおすすめよりもいいのではないかと思ってしまった。
コンシアもオレがそっちを選びたがっているのを察し、マットプレイができるとか勧め始める。
オレはナットを選んだ。
あとにも先にも最悪のMP体験
当時のナタリーは料金を払うカウンターのうしろに巨大な時計があった。
嫌でも目に留まるので、オレは時間を自然と憶えていた。
部屋に入るとナットはほかの女の子と同じように、すぐに風呂のお湯を出し始めた。
しかし、なぜか湯はちょろちょろとしか出ない。
そうしてたっぷり20分くらい話をしてようやく入浴。
しかし、あっさりと身体を洗って終わってしまう。
「マットプレイがあるんじゃないの?」
そう訊くと、ナットは「そのマットは置いてあるだけだ」と言った。
いや、コンシアに聞いたというと、「わかったわかった」とめんどくさそうに準備を始める。
しかも、ローションではなく、ボディーソープを湯に溶いただけ。
この時点でかなり最悪だと思った。
湯をちょろちょろと出すのもただの時間稼ぎ。
基本的にオレはMPなら2回戦はするが、これはできないと感じた。
適当にマットプレイも終わり、ベッドでやることはやったが、会話も弾まない。
そして、入室から40分くらい。
つまり既定の時間の半分も経っていない段階で、ナットはこう言った。
「もう時間5分前だよ」
そんなわけがない。
そもそもオレは入り口で時計を見ている。
しかし、ナットはそんなわけがない、こっちは仕事なんだからちゃんと時間を見ていると怒り出した。
大体、もし時間いっぱいなら電話が鳴るはずだ。
それもないのにだ。
でも、オレはそこを出てしまった。
もうこんな女とはいたくない。
エレベーターに向かっていると、ナットはさらに信じられないことを言った。
「チップは?」
あらゆる汚い言葉でオレはナットを罵った。
このときばかりはこんな言葉を教えてくれた、かつてのゴーゴーのひどい女たちに感謝である。
ナタリーは二度と来ないと思い、それ以来、ビールを飲みに行った以外では行っていない。
そのビールのときもGダイ編集部の懇親会の帰りにみんなで寄ったために行かざるを得なかっただけだ。
正直言って、ナタリーが閉鎖されたのを聞いたとき、内心笑顔になった。
あんなひどい店は続ける必要はない。
そして、MPではコンシアの意見に逆らってはいけないのだと改めて学んだ。
【プロフィール】
高田胤臣(たかだたねおみ)
1977年東京都出身のタイ在住ライター。
1998年初訪タイから2006年に結婚するまでにゴーゴー嬢、タニヤ嬢、マッサージ嬢など夜の女の子と一通りつきあい、タイの低所得者層から中流層の生活を垣間見てきた。
著書に「バンコク 裏の歩き方」や「東南アジア 裏の歩き方」など彩図社の裏の歩き方シリーズ関連、Amazon Kindleの電子書籍など。
コメントを残す