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#バンコクビール倶楽部
[連載前の豆知識]クラフトビールとは?
#バンコクビール倶楽部
投稿日 2016.11.10
バンコクでクラフトビール(CRAFT BEER)を提供するBarやレストランがここ2〜3年で激増している。
ハイソや中流以上のタイ人たちがクラフトビールを消費するようになり、海外のクラフトビールだけではなく、タイ国内で生産しているクラフトビールにもその影響が波及しているようだ。
現在、タイ国内にはおよそ50ものHome Brewブランドがあると言われ、その多くがバンコク、もしくはバンコク近郊で醸造していると言う。
タイで注目され始めているクラフトビール。
本企画のために取材した『Let The Boy Die』オーナーの一人であるアメリカ人男性は、最近のタイのクラフトビールはかなり品質が上がってきたと話してくれた。
では、どの店に行けば飲めるのか。
それを主旨とし立ち上げたのが「#バンコクビール倶楽部」だ!
バンコクに急増しつつある、クラフトビールを扱う店を紹介していくのだが、連載前にまずクラフトビールの意味や種類などを整理してみた。
整理したとはいえ、この連載前ウンチクはかなり長い。
執筆しながら
「誰が連載前にこんな長いウンチク読むんだ!?」
と自問自答を繰り返しつつ、書き終えた。
今回はさらっと読み飛ばしてもらい、
「ペールエールってどういう意味だったっけ?」
と思い出したい時に、このページへ訪れ読み返してもらえれば幸い!
目次
「クラフトビール」と「地ビール」の違いとは
日本各地では、地方がブランディングし醸造している「地ビール」がほとんどの都道府県で見られる。
なお、びあなび.comで掲載されている日本全国の地ビールブランドは数は239種。
「地ビール」が日本で普及し始めた時期は、いまから20年以上前までさかのぼらなければならない。
1994年の細川内閣時代、規制緩和の一つとして施行された、酒税法の一部改正がきっかけだった。
それまでビールの製造免許を取得する際に必要な年間最低製造数量の基準は 2,000キロリットルだったが、改正により60キロリットルへ大幅に引き下げられた。
最低製造量が2,000キロリットルだと参入が難しかったが、60キロリットルまだ下がったことで、製造許可を取得するためのハードルはぐっと低くなった。
この規制緩和により、全国で少量製造によるオリジナルブランドビールが現れはじめ、「地ビール」という言葉まで広がりブームへと繋がったのだ。
「地ビール」とは日本で醸造された「クラフトビール」をさし、ブーム当初「地酒」もじり生まれた言葉。つまり「地ビール」と「クラフトビール(Craft Beer)」は同義語になる。
話をぐっと個人的なことに繋げると、「地ビール」のブームが起こった当時、私は20歳。
「地ビール」という言葉は知っていたが、酒を覚えたばかりの年頃だったので味なんてどうでもよく、高い金を出して地ビールを飲むよりも大手メーカーのビールばかり呷っていました!
タイのクラフトビール事情
実はタイでクラフトビールを製造することは法律で禁じられている。
法律で罰則が定められており、ビールやワインなどの醸造酒の製造については、最低200バーツの罰金、醸造したビールやワインの販売については、最低5000バーツの罰金。
罰則がさほど厳しくなく、事実上黙認されていることも、ホームブリュー(小規模醸造所)が増えている一因だろう。
クラフトビールの種類
クラフトビールと一口に言っても、発酵の方法の違いなどで多様な色や味わいを見せ、様々なスタイル(種類)に分けられている。
細かに分類すると一説では100種とも1,000種あるとも言われているが、ここではアメリカのBJCP(Beer Judge Certification Program)が発表しているガイドライン「2008 BJCP Style Guidelines」に則って23種を掲載した。
1.ライトラガー(LIGHT LAGER)
2.ピルスナー(PILSNER)
3.ヨーロピアンアンバーラガー(EUROPEAN AMBER LAGER)
4.ダークラガー(DARK LAGER)
5.ボック(BOCK)
6.ライトハイブリットビール(LIGHT HYBRID BEER)
7.アンバーハイブリッドビール(AMBER HYBRID BEER)
8.イングリッシュペールエール(ENGLISH PALE ALE)
9.スコティッシュ&アイリッシュエール(SCOTTISH AND IRISH ALE)
10.アメリカンエール(AMERICAN ALE)
11.イングリッシュブラウンエール(ENGLISH BROWN ALE)
12.ポーター(PORTER)
13.スタウト(STOUT)
14.インディアンペールエール(INDIA PALE ALE (IPA))
15.ジャーマンウィートライビール(GERMAN WHEAT AND RYE BEER)
16.ベルジャン&フレンチエール(BELGIAN AND FRENCH ALE)
17.サワーエール(SOUR ALE)
18.ベルジャンストロングエール(BELGIAN STRONG ALE )
19.ストロングエール(STRONG ALE)
20.フルーツビール(FRUIT BEER)
21.スパイス/ハーブ/ベジタリアンビール(SPICE / HERB / VEGETABLE BEER)
22.スモークフレーバ/ウッドエイジビール(SMOKE-FLAVORED AND WOOD-AGED BEER)
23. スペシャルティビール(SPECIALTY BEER)
書き出すだけでも一苦労の全23種!
この中でもっともよく耳にするのはピルスナーだろう。
その他、バンコクのクラフトビールで多く見かけるALE、IPA、PORTER、STOUTを取り上げ、簡単に説明しておきたい。
ピルスナー(PILSNER)
全世界で販売されているビールの多くがピルスナー(PILSNER)と呼ばれるスタイルだ。
下面発酵の醸造方法で作られるのが特徴。
世界中で飲まれるようになったのは、低温で発酵、熟成させることが可能なため、雑菌の繁殖を抑えられ、大量生産に適していることが挙げられる。
エール(ALE)
ピルスナーが下面発酵に対し、エールは上面発酵のビール。
「上面発酵」とは、主発酵が完了する頃に、酵母がビールの液の表面 (上面) に浮上してくることからそう呼ばれている。
上面発酵は15〜25度で発酵させるため大規模な冷却設備を必要とせず、少量ずつビールを醸造できることにより、クラフトビールのほとんどが上面発酵が採られている。
インディア・ペール・エール(IPA)
ペール・エールは上面発酵で醸造したスタイルで、淡色(ペール)な上面発酵(エール)という言葉から由来している。
IPAはこのペールエールの一種。
ペールエールの苦みとアルコールを強くしたようなもので、かなり強い苦みがあり、クセになるとハマる味わい。
なお、2011年にイギリスで開催されたビール審査会「ワールド・ビア・アワード2011」では、日本のYOKOHAMA XPAが世界一に輝いている。
ポーター(PORTER)
麦芽をローストしたイギリス産の黒ビール。18世紀のロンドンでブームになり、労働者たちに好まれたビールで、荷物運搬人(ポーター)から名付けられたという説がある。
スタウト(STOUT)
ポーターと同じ黒ビール。線引きは曖昧のようだが、アルコール度数はスタウトの方が高い。
スタウトの方がロースト感が強いことから、コーヒーフレーバーと評されることもあるようだ。
上記23種には載っていないが以下のような種類も見られる。
ヴィット(WITBIER)
白ビールと呼ばれるビール。
一般的なピルスナータイプのビールは大麦を原料にしているが、WITBIERは大麦麦芽に小麦を45%混ぜて作られ、白く濁ったビールになるのが特徴。
生の小麦や乳酸菌を加えることにより、フルーティーでさっぱりとした味わいになる。
アメリカでの呼び名はホワイトビール(WHITE BEER)。
タイでクラフトビールを楽しもうという企画
#バンコクビール倶楽部
これまでバンコクではインポートのクラフトビールが多かったが、近年になりタイ産のクラフトビールが増え、質が上がったことによって、消費量はかなり伸びていると思う。
本原稿執筆時点ですでに5軒ほどの取材が終わっているが、どの店も外国人が多数を占めているのではなく、過半数はタイ人だ。
タイ産のクラフトビールが、ビール好きのタイ人に受け入れられている証左だろう。
我ら日本人もビール消費量では負けちゃあいない。
キリンビールが2014年に発表した「世界のビール消費量」では、堂々の7位。
しかも国内に200以上のクラフトビールを持つ「地ビール国家」と胸を張って問題ない。
何を隠そう、わたくしもビール消費量世界7位で生まれ育っただけに大のビール好きで、過剰に飲み過ぎた結果、思い出したくもない数多の失敗を重ねてきた人生である。
そんな人生を歩んできたわたしであっても、タイの地ビールを味わいたい。
本企画はわたしの個人的嗜好により始動した企画であると、はっきり申し上げておきましょう!
次回からは、バンコクでクラフトビールが飲めるBarやレストランを取り上げていきます。
取材・文・撮影/西尾康晴
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