トンローとバンコク在住者の変化を見守りつつ、不変の味を守る居酒屋「いもや」

投稿日 2018.11.20

トンローの居酒屋「いもや」

訪れる度に「あれ、こんなお店あったっけ?」と新たな発見があるトンロー。

近いうちに日光ホテルがオープンしたり、日本人駐在員も多く住んでおり、日本人エリアとしても知られる。
多くの日本食店があり、カラオケ店やバー、マッサージ店など夜遊びスポットもある。

そんなトンローエリアで18年間の変わることなく営業し続けて来た、居酒屋がある。
バンコクに2店舗を構える「いもや」。
今回はそのトンローにある本店を紹介する。

第2の食卓のような居酒屋!?

去る11月10日で18周年を迎えた大衆居酒屋「いもや」。
盛者必衰が珍しくないバンコクの日本料理店業界においては驚異的な長寿店である。

いもやの外観

客層としてはバンコク在住の男性客が多い。
特に駐在員は本帰国する前に後任の人を連れてやってくることが多く、仕事の引継ぎだけでなく「いもや」の引継ぎも行われているとのこと。
移り変わりの激しいトンローエリアとともに、バンコク在住の日本人の移り変わりも見守ってきた居酒屋だ。

またお手頃なお値段とバンコクではまずお目にかかることのない超個性的な店内装飾の効果もあり、タイ人のお客さんも珍しくない。

いろりのテーブル

囲炉裏のあるテーブル席もあり。

家庭的な味を提供

現在「いもや」を切り盛りしているのは女将さん。

日本で焼肉店や寿司店等、様々な飲食店を経営。
場所も神戸や埼玉等、日本各地で経験を積んだ。
その間の20年の経験が「いもや」の料理に凝縮されている。

「何度来ても、いつ食べても飽きないように、家庭的な味にしています」

料理のタレなどは女将さんが一から作成していて、全ての料理が女将さんしか作ることの出来ない「いもや」伝統、秘伝の家庭の味である。

日本を離れ、バンコクで働く駐在員にとっては家庭的な味付け料理が恋しくなるもの。
そのため「いもや」には男性客が多く来店。

家庭的な味が魅力的なのもあるが、お腹いっぱい食べれるのも嬉しいところ。
特に「おにぎり」や「焼おにぎり」も大きく、お腹いっぱい食べれる。
奥さんが一時帰国の間、「いもや」に寄って1人で食べて帰るお客さんも多いのだとか。

時間がゆったりながれる空間

店内は日本のレトロな感じが漂う。

座敷席には畳が敷かれ(近日中に掘り炬燵形態にリニューアル予定)、店内装飾品は豪華で個性的!
女将さんと旦那さんの故郷青森のねぶた祭が描かれた版画やポスター、女将さんと旦那さんが日本全国を旅行しながら集めた珍しい土鈴、懐かしい喫茶店のマッチ箱、高価な地酒や日本酒のラベル、またまるで花魁が出てきそうな豪華な打ち掛け等が惜しげもなく披露されている。

料理だけではなく、店内の装飾品も女将さんの人生が反映された素晴らしいコレクションの数々である。
この種のマニアなら、飲食をせずともコレクションを観る為だけに拝観料を払いたくなるだろう!

いもやの部屋

座敷席には日本の打ち掛け等、いろいろな種類の展示物が飾られている。

またBGMは昭和歌謡を採用。
バンコクではほとんど聞くことのないBGMで、和の心を取り戻すことが出来て、昭和の時代への限りない郷愁をそそられる!
時間の流れがゆったりし、ついついラストオーダーなんていうこともしばしば。

「1人で食事に来る男性客が多い」と触れた。
みんなで楽しく食事をするのも楽しいが、会食ばかりで疲れることもある。
そんなときに1人でふらっと食事に来るのにピッタリの雰囲気でもある。

マッチ箱のコレクション

懐かしいマッチ箱のコレクション。

18周年を迎えた「いもや」

味を変えない

「18年やってこれた理由? それは、1品1品味を守り、お客さんにお出ししてきたからだと思う」

味が変わるとお客が離れる。
バンコクで日本食の味を保ち続けるのは難しい。
女将さん秘伝の味であるため、18年という長い歳月を1人で守り続けて来た。

いもやにある絵

入店するとまず目に飛び込んでくる版画。

こだわりの積み重ね

お伺いした際に新メニューであるピザを出してくれたが、何かスタッフに注意をしていた。
後で聞いてみたところ、

「ピザの端までソースを塗るように伝えていたのに、端までソースがついていなかった」

たった数ミリのこだわりだが、「お客さんには余すとこなく食べてほしい」という想いがあるからとのこと。

そんな小さなこだわりを、いくつも積み重ねてきたからこその18年であり、現在があるのだ。

まだまだ邁進、新メニュー

味を守ることも大切だが、新メニュー開発にも余念がない。
一品物の「大根チーズ」や「レンコン梅マヨ和え」は女将さんの発案。

そしてこの度、ピザ等の新たな分野のメニューも追加。

新メニューはいつも「こんな食べ物があったらいいなー」という発想から生まれる。

まずは自分、そしてスタッフで試食。
納得がいく味に仕上がったところで、期間限定でお客さんに提供。
そこで更にお客さんの意見を聞き、良ければ新メニューとして定番商品となる。
この度の18周年に際し、新たに定番商品となった料理もあり。

また今後はデザートにも力を入れていくので、ますますメニューの幅が広がる予定。

いものデザート

裏ごしから調理している、いものデザート。
口の中でゆっくりととろけます。

スタッフも歴戦

お店が18年も続けば、スタッフの勤続年数も長くなる。
オープン当時からずっといるスタッフもいるし、10年以上「いもや」で働いているスタッフも多い。

簡単な日本語のやりとりができるホールスタッフも多く、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という言葉から始め、スタッフ同士で教え合っている。

「うちはカラオケ店ではないので、かわいい子ではなく、気配り上手な子を育てたい」

というのが女将さんの教育方針。

スマートホンは必ずロッカールームへ預けさせる。
スタッフが一ヵ所に固まることなく、店内の至る所に配置されており、空いたグラスや追加注文等にすぐに反応してくれる。

注文時も簡単な日本語で対応可能なのも嬉しいところ。

いもやの天井絵

見上げると龍の天井絵が!

オススメ料理4品

新メニューを含む、女将さんオススメ料理を紹介しよう。

サイコロステーキ(6個)

サイコロステーキ(6個)

数日寝かしたタレを使っているので、味は絶品。

オーダーの際「どの数でもその場でゾロ目が出たら通常の6個が12個に!」なんてサイコロゲーム付き。
お腹が空いているならば必ずトライしてみたい!

ツナ&オニオンピザ

ツナ&オニオンピザ

「居酒屋にピザ?」と思われる方がいるかもしれないが、つまみとして抜群!
ピザの生地は薄く作られているので、手軽に食べられる。

お新香盛り

お新香盛り

嫌いな人でも食べれるような味付け。
私は人参があまり好きではないが、苦みがなく旨味が引き出された味付けになっており、さらっと食べてしまったほど笑

しらす豆腐サラダ

しらす豆腐サラダ

しらす、豆腐、野菜。
バンコクで生活しているとあまり食べることのない食材、三拍子が揃って食べられる料理。

いもや本店への行き方

いもや本店は、スクンビット ソイ53に立地。
トンロー駅から歩いても行けるが、お店の前には駐車場もあり。
ドライバーを雇われている方は、駐車場を活用するのもありです。

女将さんに19年目を迎えるにあたっての抱負を聞いてみたところ、

「おいしいものをいっぱい作りたい!!」

とのお答えが。

味を守りながらも、飽くなき料理への探究心。
これからもバンコクの日本人の移り変わりを見守っていく居酒屋であり続けるのだろう。

バンコクで日本が恋しくなったら、ぜひ行きたい居酒屋だ。

いもや本店 (Imoya) 店舗情報

いもや本店 (Imoya)
■アドレス 1F Sachayan Mansion, 42/3 Soi Sukhumvit 53
■アクセス BTSトンロー駅から徒歩6分
■電話番号 02-279-0473
■営業時間 月-金 18:00-1:00 (L.O.0:15), 土日祝 17:00-0:00 (L.O.23:15)

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